現在の認知症患者数は約462万人。
2025年には認知症患者数が約700万人に達する見通しです。(厚生労働省)65歳以上の高齢者の実に5人に1人が認知症患者となる計算になります。
平均寿命と健康寿命の差は、男性で9.97年、女性で12.93年もあり、10年以上の間、なんらかの生活サポートが必要となります。
先の見通しが立たない期間が続き、親の貯金と年金があるから何とかなるとおもっていたのが、最悪「介護破産」になると言う可能性を私たちは認識しておく必要があります。
親の介護費用、子どもの養育費、自分の老後費用の捻出など40代、50代の出費のトリプルパンチをどうやって乗り切るか、認知症が引き起こすお金のトラブルをすっきり解決する新手法をご紹介します。
300名以上の方々に個別に面談を行ってきた著者だからこそ話せる家族信託とはなにか、どのような場面で効果を発揮するのか、なぜ認知症対策に効果抜群なのかなど、現場で起こるリアルなお悩みや家族信託の考え方について分かりやすく解説いただけます。
高橋さんのご両親は80代。夫婦共有名義の自宅マンションにお住まいでした。お父様の認知症リスクが高まる中、ご両親がともに老人ホームに入居したのを機に、高橋さんはお父様とお母様それぞれと信託契約を結びました。認知症による資産凍結を避けながら、将来の介護費用を確保するためのマンション売却にめどをつけることができました。
正直、最初は本当に家族信託が有効な方法なのか、何かデメリットがないのか、半信半疑でした。でも、セミナーで紹介されていた具体的な事例を通して家族信託への理解が進み、これはまさに私たちが必要としているものだと感じ、一筋の光が見えた気がしました。
セミナー後に個別相談を申し入れたところ、セミナー講師を務めていた横手さん自身が対応してくれました。私たちが抱える状況を説明すると、父の状態を考えれば一刻も早い対応が必要とのこと。
翌週には日本財託の本社に伺ってさらに詳しく話を聞き、「私たちが取るべき方法はこれしかない」と判断して、父や母にも事情を話しました。母は意図を汲んで了承してくれ、父も、「お母さんの生活を助けられるのはお父さんしかなく、協力してほしい」と話すと、「分かった。任せる」と言ってくれました。
横手さんと、日本財託でご紹介いただいた司法書士の先生の立ち会いのもと、まずは父と信託契約を交わしました。信託財産はマンションと預貯金すべてです。後日、マンションの残り2分の1を所有する母とも同様に信託契約を結びました。
現在は、すでに母も老人ホームに入居しています。マンションをそのまま遊ばせておくのはもったいないという母の希望で、なるべく早期の売却を予定しています。信託契約を終えているため、両親に負担をかけることなく私の手続きだけで売却できるという点で安心ですね。売却は、日本財託の不動産仲介のご担当者につないでいただき、専任契約でお願いしています。
当初、日本財託が不動産会社であることはほとんど意識していなかったのですが、両親のマンションを売ろうと決めてから、売却までひと続きにお願いできると分かって大変助かりました。家族信託はまだまだ一般的ではないため、事情の分からない不動産会社に仲介を頼んでしまうと、手続きに混乱が起きるのではと思ったのです。家族信託の取り扱いに慣れた不動産会社にお願いできるのであれば、それが一番スムーズです。
とにかく、こういう制度があったことに感謝しています。「後見人」や「遺言」はなんとなく耳馴染みがあるものの、私のように事態が差し迫ってからそれでは対応できないことに気付き、慌てる人も多いのではないでしょうか。高齢社会の日本で、しかも認知症がこれだけ社会問題になっている中、相続対策だけでなく、「親が生きている間の生活費や介護費をどうするか」という視点が大事になっているのだと思います。その意味で、家族信託がもっと一般に知られ活用されていけばいいと願っています。
当初、娘から「家族信託」について話を聞いたときには、全く聞いたことがない制度でとまどいもありました。周囲に聞いても知っている人がおらず、身近な前例がない中でそれを活用するというのは、親子ともに勇気がいることだったと思います。それでも、振り返ってみるとやはり私たちの状況を解決できる唯一の方法だったと感じますし、信託により先々のことまで娘に任せられ、とても安心しています。
認知症、不動産の共有問題、今の法律では財産を動かすことが難しい時代にきております。 現状の案件の8割は、高橋さんのように受託者候補が問題を認識して始まります。
子供世代が親の問題に気づき親に提案するこの高橋さんのパターンが今後増えていくことでしょう。親御さんにとっては、聞きなれない言葉で不安になられることもあると思いますが、家族信託はご家族の問題を解決してくれる大変効果的なツールです。
今回の事例は、お子様である高橋さんから親御さんにうまく伝えられ、家族信託を効果的に活用できた典型的な事例です。
信頼できる家族と、財産管理について信託契約を結ぶのが「家族信託」です。信託銀行などの金融機関ではなく、家族に管理を託すものなので高額な信託報酬はどはかからず、誰にでも活用できます。
発売日: 2017年12月14日
著者/編集: 横手 彰太
出版社: ダイヤモンド社
価格:1,620円(税込)
ページ数: 236p
ISBNコード: 4478104670
1972年生まれ、中央大学卒業後、スペイン留学を経て大手上場企業に就職。その後、独立して北海道ニセコで飲食店経営に従事。お客様の認知症対策・相続対策コンサルティングや不動産活用などを中心に行い、これまでの家族信託に関する相談件数は300人以上、40件以上の家族信託契約に携わる。お客様向けのみならず、税理士・FP向けの家族信託セミナーにも講師として多数登壇。 自身でも家族信託を活用した経験を活かし、具体的でわかりやすいことを心がけ、常にクライアントファーストの姿勢を貫いている。著書に「相続対策は東京中古ワンルームと家族信託で考えよう」